大手ハウスメーカーの家はなぜ高いのか?徹底解説します!
2023年01月09日
注文住宅を建てようと考えた時に、まず行くのが住宅展示場。
住宅展示場に出展している住宅会社の多くは全国展開している大手ハウスメーカー。
プラン・見積りをしてみると、やはりといいますか、なかなかのお値段。中小工務店と比べると同じような面積なのにかなり高額のお見積り。なぜこれほど高いのか?徹底解説いたします!
もくじ
1.大手ハウスメーカーとは?
大手ハウスメーカーとは、日本国内全域、広範囲での規模で展開する住宅建設会社です。正式な定義はありませんが、全国展開しているハウスメーカーと考えていただければ分かりやすいと思います。
大手ハウスメーカーの例
・ダイワハウス
・積水ハウス
・住友林業
・ヘーベルハウス
・セキスイハイム
・ミサワホーム
・一条工務店
・パナホーム
・三井ホーム
・タマホーム
・トヨタホーム
・スウェーデンハウス
2.大手ハウスメーカーが高い原因
大手ハウスメーカーが高い原因は下記の6つです。
1.オリジナル商品の研究開発費
2.モデルハウスの維持費
3.広告宣伝費
4.営業マンの給与などの人件費
5.値引きやキャンペーンなどの経費
6.高い営業利益
住宅会社の商品の価格の内訳は、
・材料費
・人件費
・諸経費
・利益
で構成されます。
実は、大手ハウスメーカーの住宅が高い理由は簡単に言ってしまうと、利益の高さなのですが、それ以外にも上記のような要素がありますので、細かく解説していきます。
2-1 オリジナル商品の研究開発費
ハウスメーカーは、各社でオリジナル商品を研究開発しています。
ハウスメーカーは、上場企業も多く資金が豊富にありますので、自社オリジナル商品として、オリジナル部材やオリジナル設備を研究開発しています。
外壁やサッシのみならず、床材などの内装材、キッチンやユニットバスまで自社オリジナル商品を用意しています。
お客様によりよい商品・部材を提供するために研究開発されたものですから、優れた商品もたくさんあるのは事実なのですが、そのために多くのコストがかかっていることも事実です。
研究開発拠点の建設費、維持費、研究開発する従業員の人件費、せっかく研究開発したものの商品化されずに廃番となった商品の開発コストもこの中に含まれます。
日本にはたくさんの部材メーカーがあります。有名な設備機器メーカーもたくさんあります。それなのになぜ自社でオリジナル商品を開発するのか?それは、他社との差別化を図ることにあります。
他社と同じ建材を使わないことに差別化が向かわれていますので、ハウスメーカーで使われている部材は中小工務店では使用できないオリジナル部材が多く存在します。
このオリジナル部材について知らずにハウスメーカーを選択する人がいますが、こういったオリジナル商品はリフォームするときや修理するときになって困ることがあることも事実。一般品ではないため修理が高額になったり、そのハウスメーカーでしかリフォームできないという蟻地獄に陥る可能性もあります。
2-2 モデルハウスの維持費
ハウスメーカーの家が高い理由は、モデルハウスの維持管理費です。
大手ハウスメーカーは全国にある住宅展示場のほとんどに出展しています。中には、同じ住宅展示場に2~3棟あるハウスメーカーもあります。
そのモデルハウスですが、建築費と維持費がかかります。
まずは建築費。
普通の家庭では建てない大きな延べ床面積、たくさんあって大きな部屋、豪華なLDK。家具も高級なものが据えられており、とても自分の予算では建てられない住宅ばかりです。
建築費も家具なども含めると8000万円~1億を超えるモデルハウスもあるそうです。
また、住宅展示場に出展する際の年間費用がかかります。出展している場所にもよりますが、年間1,000万円前後が必要になります。
このモデルハウスに営業マンが常駐し、受付や事務の人の人件費、水道光熱費、リフォームや修繕費用、建て替え費用などもかかってきます。
これから住宅を建てる人にとっては、モデルハウスはみてみたいもの。体感したいと思うのは分かりますが、広くて大きい豪華なモデルハウスを見た後で契約し、自分の家を建ててワクワクしていたのに、あの時見た豪華なモデルハウスと出来上がった小さくて質素な自分の家を比べて愕然としてしまったという人もいるとおりメリットデメリットもあるかもしれません。
2-3 広告宣伝費
ハウスメーカーの家が高い理由は、広告宣伝費です。
大手ハウスメーカーはありとあらゆるところで広告を出しています。
新聞・ラジオ・テレビ・雑誌・インターネット
広告を出せるところにはすべて出しているといってもよいくらい広告を出しています。
テレビCMは高額な広告費がかかりますが、さらに有名芸能人を使っている住宅会社が多いのでそのギャラだけでも相当な費用になります。
ローコストで売っているタマホームでもキムタクを使ったり、サンドウィッチマンやマツケンなどを使用していますので、どれほど広告宣伝費がかかっているか調べてみたいほどです。
・・・と思って調べてみたらありました。
住宅建設業界広告宣伝費ランキング2022
広告宣伝費ランキング4位のタマホームは売り上げに対する広告宣伝費率が3.6%かかっています。
この比率が安いか高いかは別にして、しっかりと広告宣伝費がかかっていることが分かります。
2-4 営業マンの給与などの人件費
ハウスメーカーの家が高い理由は、営業マンの給料です。
一般的な中小工務店の営業マンの給与と、大手ハウスメーカーの給与を比較してみます。といっても個別でだいぶ変わってしまいますので、中小企業のデータと大手ハウスメーカーの積水ハウスのデータで比較してみましょう。
中小工務店の場合
TKC経営指標 木造建築工事業
令和4年7月~9月決算データで
1人当たりの人件費が595万円となっています。
積水ハウスの場合
平均年齢43.3歳 平均年収799万円
となっています。(会社四季報2022年12月データ)
単純に年収で約200万円の差があります。
ハウスメーカーではたくさんの従業員が働いています。あなたの担当になる営業マンだけでなく、事務作業をする事務員さんや営業所の所長さん、本社の部長や役員の給与、研究開発している人や工務部の人たちもたくさんいます。
この年収×従業員数の人件費がかかるわけです。
ただ単純に大手ハウスメーカーは大企業が多いですから、その企業の社員の給与が高いのは当たり前のことかもしれません。その社員の給与を維持していかなければならないのですから、商品が高いのは当たり前のことなのかもしれません。
2-5 値引きやキャンペーンなどの経費
ハウスメーカーの家が高い理由は、値引きやキャンペーンの経費です。
大手ハウスメーカーとのやり取りで多く聞かれるのが、
値引きやキャンペーン
になります。
ハウスメーカーは上場していることもありますし、売り上げを維持していかなければなりませんからノルマがあります。ノルマを達成しやすくするために、値引きやキャンペーンが常套手段になっています。
まずは値引き。他社の見積りの方が安いならということで、今日決めていただいたら100万円値引きします。月末になると契約をとりたい営業マンから連絡があり、今日中に決めていただいたら〇〇円値引きしますという言葉。
限定〇〇棟の特別価格や今月は食洗機無料サービスキャンペーン、2Fトイレ無料サービスキャンペーンなど、サービスキャンペーンのオンパレード。中には先月限定キャンペーンやってたのに今月も限定キャンペーンをやっていてあきられる住宅会社も。
値引きしたり、無料サービスを付けても十分利益が残るように最初から高い金額が設定されていると考えて間違いありません。
逆に値引きや無料サービスを付けずに契約してしまった人がいたとしたらかなり高い買い物をさせられていることになります。
2-6 高い営業利益
ここまで大手ハウスメーカーの住宅がなぜ高いのか?
ということをお伝えしてきましたが、上記を差し置いて一番コストがかかっている?ものが
営業利益
になります。
大手ハウスメーカーである積水ハウスの決算を見てみますと、
積水ハウス統合報告書/アニュアルレポート
Section7 ファクトデータ
セグメント別売上高・営業利益
戸建住宅事業
2021年売上高 352,732百万円
営業利益 42,475百万円
営業利益率は12.04%です。
一方中小企業の経常利益率は、
TKC経営指標 木造建築工事業
令和4年7月~9月決算データで
木造建築工事業で4.3%となっています。
会計年度の違いや営業利益・経常利益の差はありますが、利益率でもかなりの差となっています。
この利益率の差、利益額の差が価格の差になっていることは間違いありません。
3.まとめ
ここまでなぜ大手ハウスメーカーの住宅は高いのかを説明してきました。
高くなる原因は以下の6つ。
1.オリジナル商品の研究開発費
2.モデルハウスの維持費
3.広告宣伝費
4.営業マンの給与などの人件費
5.値引きやキャンペーンなどの経費
6.高い営業利益
大手ハウスメーカーの住宅は高い。
これは紛れもない事実です。
しかしこれらの逆を考えますとそれだけお金がかかっている住宅だということです。
モデルハウスがあるからそのハウスメーカーの家というのが分かりやすい。そのハウスメーカーオリジナルの住宅部材が気に入ったらそのハウスメーカーでしか採用できません。お気に入りの芸能人がCMに出ているからここで決めるという人もいるでしょう。給与の高い営業マンは従業員教育がしっかりされていますから、安心できます。値引きやキャンペーンをしているから、ガンガン値切って少しでもサービス工事をゲットする。高い営業利益をとっているから倒産する心配がない。
デメリットの逆がメリットにもなります。
ただ、やはり中小工務店とハウスメーカーを価格で比較するとハウスメーカーの住宅のほうが価格が高いのは事実です。
大切なのはこれらのことを充分知ったうえで自分たちの家をどこに任せるかを決めること。中小工務店だから心配だ、とか、ハウスメーカーだから安心だ、ということではありません。
いろいろと知識を仕入れて、任せる会社を決めましょう。