設計で寝室は作らない？

2024年09月30日

設計で寝室は作らない？

家を新築する際、
ほとんどの人が「寝室」を
どうするかを考えるのではないでしょうか。
しかし、私は少し違った視点で
提案したいと思います。
それは、「寝室」という
専用の部屋を作らないという選択肢です。
驚かれるかもしれませんが、
実はこれは非常に柔軟で、
将来を見据えた賢い設計の考え方です。

多用途な「洋室」という考え方

一般的には、寝るための部屋を
「寝室」として設計します。
しかし、その部屋が一度
「寝室」と決まってしまうと、
それは「夫婦の部屋」などと
固定された使い方になりがちです。
同様に、「子供部屋」
という名前を付けると、
家族全員でその部屋を使うことが
難しく感じられてしまいます。
だからこそ、私は「寝室」や「子供部屋」
としてではなく、
単に「洋室」として柔軟に使える
部屋を設計することをお勧めします。

子供がまだ小さい場合、
実際に個別の部屋は
必要ないことが多いです。
多くの家庭では、
子供が両親と一緒に寝る期間が
しばらく続きます。
その間、子供部屋として作った
スペースはほとんど使われず、
結局は物置や空き部屋になって
しまうことも少なくありません。
それならば、その部屋を
「収納」として使うなど、
別の用途にしておく方が有効な
活用方法と言えるでしょう。

子供部屋は本当に必要か？

たとえば、4人家族でお子さんが2歳違いの場合、
子供部屋が必要になるのは
小学校高学年から高校生くらいの期間です。
つまり、実際に子供が自分の部屋を
使う期間は6年から8年程度。
驚くほど短い間しかその部屋は
フルに活用されないのです。
それ以外の期間は、ほぼ使われないまま
部屋が無駄になってしまう可能性もあります。

さらに、
「子供が大学に進学しても家から通うかもしれない」
といった心配もあるでしょうが、
それは未来のことで、
まだ起きていない可能性の話です。
その時にどう対応するかを、
今から深刻に考えすぎる必要は
ないかもしれません。

コストを抑えるための柔軟な考え方

ここで大事なのは、
将来のことを考えすぎて
間取りを大きくし、
結果的に建築コストが
膨らんでしまうことです。
必要なスペースを超えて部屋を増やすより、
時には貸し倉庫を利用するという
選択肢も考えてみてください。
荷物が増えた時期だけ倉庫を借りる方が、
家全体を大きくするよりもはるかに
コストを抑えることができる場合があります。

お子さんが巣立った後には倉庫を
解約すれば良いのですし、
実際に借りることがなかったとしても、
それぐらい柔軟な考え方を持つことで、
無駄な出費を抑えることができるかもしれません。

新築やリフォームを考える際、
寝室や子供部屋をどうするかというのは
大切なポイントです。
しかし、「寝室」という名前に縛られず、
柔軟に使える「洋室」を
設計することで、
住まいの使い勝手を大幅に
向上させることができます。
さらに、部屋数を増やすよりも
コストを抑え、必要な時に
必要なスペースを確保するという考え方は、
今後の住宅設計において非常に効果的です。

家づくりは、長い目で見て柔軟に
対応できる設計が大切です。
今回の考え方を、
ぜひ参考にしてみてください。