人間の設計、ＡＩの設計

2025年01月19日

人間の設計、ＡＩの設計

近年、AIが急速に進化し、
住宅設計の分野にもその影響が広がっています。
「AIで間取りが簡単に作成できる」
という広告を目にする機会が増えた方も
多いのではないでしょうか。
一見すると、これはとても
便利で革新的なツールに見えます。
しかし、ここで立ち止まって考えてみてください。
本当にAIだけで最適な家づくりができるのでしょうか？

AIの設計の魅力と限界

AIを使えば、効率的に間取りを
作成することができます。
既存の間取りデータを学習したAIが、
指定した条件に基づいて
スピーディーに設計を行います。
これにより、短時間で大量の案を
検討することが可能です。
また、コスト削減や
効率化の観点からも注目されています。

しかし、AIは過去のデータに
基づいて設計を行うため、
オリジナリティや住む人の
個別の要望に完全に応えることは
難しい場合があります。
例えば、家族構成や生活習慣、
土地の特性など、人間が感覚的に
把握できる要素をAIが完全に
再現するのは容易ではありません。

人間の設計の価値

一方で、人間の設計には
「共感」と「経験」という
AIにはない強みがあります。
設計者は施主の話を直接聞き、
その表情や声のトーンから、
言葉には表れないニーズを汲み取ります。
また、設計者自身の経験や感性を活かし、
住まい手にとって最適な提案を行います。

例えば、子どもがのびのびと
遊べるような広いリビングや、
夕陽が差し込む窓辺を設計する際には、
その家族の暮らしを想像しながらプランを練ります。
こうした細やかな配慮や創造力は、
現時点ではAIに代替できない部分です。

AIと人間の設計の共存

では、AIと人間の設計は
どのように共存すべきなのでしょうか？

AIは、設計のスピードアップや
データ分析において非常に有効です。
一方、人間は、そのデータをもとに
施主の要望を深掘りし、
具体的で個別的な提案を行う役割を担います。
例えば、AIが作成した間取り案を
たたき台として活用し、
それを基に設計者が施主と対話を重ねながら、
より理想に近づけていく方法が考えられます。

このように、AIと人間の設計は
互いの強みを活かし合うことで、
より良い家づくりを実現できるのです。

AIは確かに便利なツールですが、
それだけでは本当に
「住み心地の良い家」
を作ることはできません。
人間の設計者が持つ感性や経験があってこそ、
AIの力を最大限に引き出すことができるのです。

私たちの目指す家づくりは、
単なるデータや効率性だけでなく、
そこに住む人々の暮らしや
情緒に寄り添ったものです。
AI時代だからこそ、
設計者としての知識と感性を磨き続け、
皆さまに最適な住まいを
ご提案していきたいと思います。