日本の気候は特別ではありません

2024年10月08日

日本の気候は特別ではありません

住宅の新築やリフォームを考えていると、
よく耳にするフレーズがあります。
「日本は高温多湿だから…」。
この言葉の後には、
「だから海外の家づくりは
日本に当てはまらない」
と続くことが多いです。

確かに、日本の夏は蒸し暑く、
湿気が多いのは事実です。
しかし、「日本だから特別な家づくりを
しなければならない」という考えは、
本当に正しいのでしょうか？
今回はこの「日本の気候が特別だから」
という主張について、
少し視点を変えて考えてみましょう。

日本の気候は特殊？
世界の多様性を考える

日本は確かに高温多湿です。
ですが、同じような気候条件は
世界中に存在しています。
例えば、アメリカの
フロリダ州マイアミも非常に湿気が多く、
夏場は日本以上に湿度や降水量が高い地域です。
それでも、マイアミでは
ツーバイフォー工法による家が
普通に建てられ、高断熱・高気密の
住宅が主流です。

アメリカには、デスバレーのような
砂漠地帯もあれば、アラスカのような
極寒の地域も存在します。
このように、1つの国の中でさえ
多様な気候があるのです。
そのため、気候に合わせた家づくりが
求められるのは日本だけでなく、
世界中どこでも同じことが言えます。
実際、日本でも採用されている
多くの技術は、世界中の研究者が
協力して開発されたものです。
アメリカ暖房冷凍空調学会（ASHRAE）
のデータは、日本でも多くの専門家が
参考にしているのです。

日本の住宅の質の問題は
気候だけではない

「日本の住宅が寒いのは気候のせい」
「日本の家は長持ちしないのは湿気のせい」
と考えがちですが、
実はこれは半分正しくありません。
戦後の住宅不足の中で、
「質より量」を重視してきた政策が、
日本の住宅品質に影響を与えています。
世界が住宅の性能を向上させてきたのに対し、
日本ではコストや効率を優先して
住宅の質が二の次になってしまった
背景があります。

もちろん、今では日本にも優れた
住宅を建てる会社がたくさんあります。
しかし、例えばヨーロッパや
アメリカで建てられている家と比較すると、
断熱性や耐久性において
まだ追いついていない部分があるのも事実です。
だからこそ、私たちが住宅を建てる際には、
最新の技術や高性能の素材を
積極的に取り入れることが大切です。

高温多湿を理由にしない選択

「日本は高温多湿だから、〇〇は必要ない」
「だから、この程度の性能で十分だ」
という理由で、家づくりの重要な部分を
妥協してしまうのは
非常にもったいないことです。
例えば、断熱等級5が少し前までは
最高等級でしたが、
今ではそれが標準となりつつあります。
耐震等級や断熱基準も、
すぐに当たり前の基準となってしまいます。

家づくりで妥協してしまうと、
その結果は将来的にあなたや家を
受け継ぐ人に跳ね返ってきます。
断熱や耐震性能は、建てた後から
簡単に改善できるものではありません。
だからこそ、家づくりの際には
最新の技術や基準を取り入れ、
将来も見据えた選択をすることが重要です。

「日本は高温多湿だから…」という言葉は、
しばしば家づくりにおいて妥協や
言い訳として使われがちです。
しかし、本当の意味で日本の気候に
適した家を作るためには、
むしろ高温多湿な気候に対して
最高の性能を備えた住宅を
建てるべきなのです。
家は一生に一度の大きな投資ですから、
将来の安心と快適さを考えて、
最高の選択をすることをお勧めします。